【活動報告】UNIQLO全日本ジュニアテニス選手権2025|救急救護・WBGTヒートルール・トレーナールーム対応|春日部田中接骨院

目次
今年のユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2025は、酷暑の中で選手たちが懸命に戦い、スタッフも一体となって安全を守る大会となりました。帯同トレーナーとして現場に立ちながら感じたのは、「命と健康を第一に考えた競技運営」が何より重要であるということです。猛暑下での試合は選手の限界を引き出す一方で、熱中症リスクや外傷も隣り合わせ。その中でトレーナー、ドクター、審判、運営スタッフが即時に連携し、救急搬送やヒートルール適用を判断できたことは大きな学びでした。選手の頑張りを支える「見えない支柱」としての役割を改めて実感するとともに、春日部の田中接骨院での日常業務とも強くつながる経験となりました。

はじめに
1. 大会概要と当日の環境
2. メディカル体制:トレーナー×ドクター連携(EAP)
3. WBGT計測とヒートルール運用(しきい値と現場手順)
4. 救急救護の記録:熱中症の救急搬送対応
5. トレーナールームのケアとコンディショニング
6. 暑熱下のパフォーマンス維持:プリ・ペリ・ポストクーリング
7. 選手・保護者へのお願い(予防・補給・睡眠)
8. 競技運営への提案(改善点と今後の準備)
9. 田中接骨院(春日部)のサポートメニューとご案内
10. 参考文献・ガイドライン
1. 大会概要と当日の環境

大会名:ユニクロ 全日本ジュニアテニス選手権2025
会期:2025年8月25日〜9月5日
会場:有明テニスの森公園(屋外No.1–23・有明コロシアムほか)
夏季の真っただ中に開催され、日中はWBGT(暑さ指数)が「厳重警戒」〜「危険」域に達する時間帯もあり、熱中症リスクの高い条件下での運営となりました。本稿では、現場での救急救護・ヒートルール運用・トレーナールーム対応の実際を、国内ガイドラインに沿って整理します。
2. メディカル体制:トレーナー×ドクター連携(EAP)

大会前にEmergency Action Plan(EAP:緊急時対応計画)を共有し、連絡系統・役割・後送医療機関を明確化。日本テニス協会(JTA)のメディカルルールおよびメディカルサポートドクター(MSD)制度の趣旨に沿い、「トレーナー初期対応 → レフェリー経由でドクター要請 → 必要に応じて119通報・後送」までを一本化しました。
主な取り決め:
(1)コートサイドの異常所見(錯語・ふらつき・痙攣・失神兆候・重度痙攣性筋けいれんなど)を最前線で検知するのはトレーナー。
(2)レフェリー/ロービングへの即時報告とメディカルタイムアウト(3分)の活用。
(3)ドクター評価に続き、重症が疑われる場合は即時冷却と119通報。後送先は事前に地図と搬送ルートを確認。
(4)AEDの配置・動線を全スタッフが把握(毎朝ブリーフィングで再確認)。
(5)健康情報管理(例:体温・既往歴・前日睡眠・朝食・補給状況)をチェックリスト化し、ハイリスク選手を把握。
3. WBGT計測とヒートルール運用

会場ではWBGTを1時間ごとに実測し、しきい値に応じてヒートルールを適用。特に「WBGT 30.1℃以上」で3タイブレークセット方式の種目に10分休憩(ファイナル前)を導入、「WBGT 32.2℃以上」ではプレーを一時中断する運用としました。
WBGT閾値 | 運用 | 現場の具体策 |
30.1℃ 以上 | ファイナル前10分休憩(3タイブレークセット) | 日陰での休憩/経口補水/首・腋窩・鼠径部の冷却、氷嚢/パフォーマンスチェック |
32.2℃ 以上 | 一時中断 | コートクローズ/選手の安全確保/トレーナールームへ誘導し冷却・補給/再開はWBGT低下後 |
4. 救急救護の記録:熱中症の救急搬送対応
大会期間中、熱中症が疑われる複数の傷病者に対応。重症化リスクが高い症例では、初期評価(ABCと意識レベル、深部体温の推定)→ 即時冷却 → 119通報 → ドクターの判断 → 後送、の順に対応しました。特に運動性熱射病が疑われる場合は、「まず冷やす(cool first, transport second)」の原則に基づき、可能な限りの冷却手段(氷水浴/氷袋・アイスタオル/送風併用)を即時に開始しました。
現場での標準手順(抜粋):
・反応が鈍い/意識障害/歩行困難:メディカルタイムアウトではなく救急対応モードに移行。
・涼所へ移動、衣服をゆるめ、頸部・腋窩・鼠径部を重点冷却。可能ならアイスバス(タブ)を準備。
・経口摂取不能/嘔吐時は無理に水分を飲ませない。意識状況に応じ気道確保を優先。
・ドクター評価のもと、救急搬送の要否を判断。搬送時は経過・バイタル・介入内容を引継ぎ。
全国的にも今夏は熱中症による救急搬送が増加傾向で、試合会場でも例外ではありません。重症化を抑える鍵は「早期認知」「即時冷却」「適切な後送」です。

5. トレーナールームのケアとコンディショニング
トレーナールームでは、以下のケアを中心に実施しました。
① 急性対応:熱中症疑いのクーリング、こむら返り(筋痙攣)へのストレッチと電解質補給、打撲・捻挫のRICE/PEACE & LOVEの原則。
② 競技継続支援:テーピング(足関節・膝・腰部・前腕・肩周囲)、摩擦対策(マメ・靴擦れ)、前腕伸筋の疲労軽減。
③ コンディショニング:試合間の再補給プロトコル(糖質+Na+水)、アイススラリー摂取の推奨、手掌冷却やアイスベストの活用。
④ リカバリー:ポストクーリング(アイスバス・部分冷却)、軽い能動的リカバリー、栄養(炭水化物・タンパク質・電解質)と睡眠衛生。

6. 暑熱下のパフォーマンス維持:プリ・ペリ・ポストクーリング
最新のガイドや実践知見を踏まえ、以下の冷却戦略を推奨しました。
・試合前:アイススラリー摂取、アイスベスト、手掌/前腕冷却。
・試合中:チェンジエンドでの首・腋窩・鼠径部冷却、送風、吸水→含嗽→再吸水の順でむせを防止。
・試合後:アイスバス(全身 or 下肢)、アイスタオル、シャワー、冷水と常温水の併用で深部体温を低下。
※個々の体質・既往・競技スケジュールに合わせ、安全性を最優先にカスタマイズします。

7. 選手・保護者へのお願い(予防・補給・睡眠)
・「急な暑さに要注意」:合宿/本戦序盤は暑熱順化の進みが遅いことが多く、運動強度と出場数を調整。
・睡眠:前夜の睡眠不足は発症リスク。就寝前のスマホ時間を短縮し、冷房は適切に使用。
・朝食:糖質+タンパク質+塩分を目安に。未摂取は重大リスク。
・補給:尿の色で自己チェック。目安は「淡いレモン色」。スポーツドリンク+水の併用、Na 0.1–0.2%相当。
・装備:白基調の通気性ウェア、帽子(ツバ広推奨)、日傘、日陰確保用のポップアップテント(運営許可範囲内で)。
・症状早見表:めまい・頭痛・悪心・動作緩慢・言動異常はサイン。無理をせずトレーナーへ早めに相談。
8. 競技運営への提案(改善点と今後の準備)
・WBGT掲示の見える化(コート脇とトレーナールーム、オンラインでの時系列共有)。
・ミスト扇風機・アイスバス・大量の氷保冷ボックスの常設。
・ヒートルールの多言語サイン/朝の保護者向けブリーフィング。
・救急車動線と待機スペースの確保、最寄り救急受入病院の最新リスト化。
・HeaLo等の健康情報入力の徹底と、ハイリスク選手への事前声かけ。
9. 田中接骨院(春日部)のサポートメニューとご案内
春日部エリアのアスリートを対象に、試合前後のコンディショニング、熱中症予防・暑熱順化プラン、パフォーマンス向上エクササイズ、怪我のケアと再発予防まで一気通貫で支援します。
所在地:埼玉県春日部市藤塚2802(田中接骨院)
TEL:048-689-3914/Web:https://tanakasekkotsuin.com
帯同サポートのご相談もお気軽にどうぞ。スケジュールに応じて対応いたします。
10. 参考文献・ガイドライン
1. 日本テニス協会(JTA)「熱中症予防 JTA 公式テニストーナメント開催ガイドライン」(2023年改訂)
2. 日本テニス協会 医事委員会「暑熱下に開催されるテニス競技会でのヒートルールとメディカルルールの運用について(改訂版)」(2020)
3. 全日本ジュニアテニス選手権大会 実行委員会「WBGTとヒートルールの運用(2025)」
4. 環境省「暑さ指数(WBGT)と熱中症警戒情報」
5. 東京都「熱中症対策ポータル|WBGT区分の目安」
6. 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(2025改訂)」
7. 国立スポーツ科学センター(JISS)「競技者のための暑熱対策ガイドブック・身体冷却法」
8. 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」
9. 消防庁「熱中症による救急搬送状況(令和7年)週報・年報」
10. 東京消防庁「夏季における熱中症による救急搬送(令和7年速報)」
当院の情報

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院名
田中接骨院
住所
〒344-0011 埼玉県春日部市藤塚2802
電話/FAX
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